よくある質問(Q&A)

 研修やセミナーで、受講者から頂いた質問の一部を掲載します。回答は、少々一般論で記載しています。もっと深い回答をご希望であれば、未然防止研究所までお問い合わせください。

1.部下の指導・管理職の関わり方

Q1.ミスを繰り返す部下への対応に困っています。上司は「何とかしろ」というだけで、具体策を示してくれません。どう対応すればよいでしょうか。

A
 ミスを繰り返す部下に対しては、本人の注意不足だけを責めても改善しません。
まずは、どの場面で、どのような条件のときにミスが起きるのかを具体的に整理することが大切です。
そのうえで、本人への指導だけでなく、仕事の手順、確認方法、情報の伝え方、周囲の支援体制まで含めて見直す必要があります。
 管理職の役割は、部下を責めることではなく、ミスが起きにくい仕事の仕組みを整えることです。


Q2.職人気質のベテランをうまく動かすには、どのようなマネジメントがよいでしょうか。

A
 職人気質のベテランには、頭ごなしの指示よりも、経験や技能への敬意を示したうえで協力を求めることが重要です。
 「やり方を変えてほしい」と言うだけでは反発されやすいため、「事故を防ぐために、あなたの知見を活かしたい」という姿勢で関わると効果的です。
 ベテランを抵抗勢力ではなく、未然防止の推進役として巻き込むことがポイントです。


Q3.安全第一の意識をどうすれば高められるか知りたいです。

A

 安全第一は、スローガンを繰り返すだけでは定着しません。大切なのは、現場で危険を具体的に見つけ、対策し、振り返る習慣をつくることです。
 また、管理職が日常的に安全に関心を示し、問題提起を歓迎する姿勢を持つことで、現場の意識は高まりやすくなります。
 安全第一とは精神論ではなく、日々の行動と仕組みで支えるものです。

2.再発防止に関する質問

Q4.未然防止以前に、なぜ再発防止がうまくいかないのか、当社で何が足りないのか知りたいです。

A
 多くの企業で再発防止がうまくいかない理由は、原因追究が浅いこと対策がその場しのぎで終わること効果確認が不十分なことにあります。ルール追加や注意喚起だけでは、同じ問題は形を変えて再発します。
 再発防止では、問題が起きた背景にある仕事の進め方、管理のあり方、組織の弱点まで掘り下げることが必要です。


Q5.ダブルチェックは効果がないという説明でしたが、当社ではベテランと新人がペアでチェックしています。これもダブルチェックになるのでしょうか。

A
 はい、それも基本的にはダブルチェックの一種と考えられます。ダブルチェック自体が直ちに悪いわけではありませんが、それだけに依存すると根本対策になりにくいことが問題です。
 ベテランと新人のペア確認も、なぜ一人ではミスが起こるのか、なぜチェック漏れが起きるのかを改善しなければ、長期的には限界があります。
 ダブルチェックは補助策であり、本来はミスが起きにくい仕組みづくりが本命です。


Q6.当社では物流倉庫を運営していますが、実際の入出庫作業は関連会社に任せています。誤出荷が多いのですが、改善要望を出しても進展しません。どうすればよいでしょうか。

A
 委託先に「改善してください」と求めるだけでは、なかなか変わりません。重要なのは、誤出荷を委託先だけの問題にせず、発注側も含めた共同課題として扱うことです。
 誤出荷が起きる工程、情報の受け渡し、指示方法、責任分担を一緒に確認し、事実に基づいて改善を進める必要があります。
 必要なのは要望ではなく、一緒に原因を見て、一緒に仕組みを変えることです。


Q7.サプライヤー起因の品質不具合が止まりません。どのようにサプライヤーを指導すればよいでしょうか。

A
 サプライヤーへの指導では、単に「不具合を出さないでほしい」と伝えるだけでは不十分です。どの工程で、どのような条件のときに問題が起きるのかを共有し、事実ベースで原因と対策を一緒に検討することが大切です。
 また、要求事項だけでなく、管理方法、教育、確認ポイントまで踏み込んで支援する姿勢が必要な場合もあります。
 サプライヤー管理も、指示ではなく未然防止の仕組みづくりとして考えることが重要です。そして、サプライヤーを業者扱いせず、ビジネスパートナーと位置付けてください。

3.未然防止の考え方・進め方

Q8.未然防止とリスクアセスメントとの違いは何でしょうか。

A
 リスクアセスメントは、起こりうる危険や不具合を洗い出して評価する活動です。
一方、未然防止は、そうした将来リスクに気づき、実際に問題が起きる前に手を打つ活動全体を指します。つまり、リスクアセスメントは未然防止の一部であり、未然防止のほうがより広い考え方です。
 未然防止では、評価だけで終わらず、対策の実行と定着まで求められます。


Q9.未然防止活動の結果評価に困っています。どう考えればよいでしょうか。

A
 未然防止は、「事故が起きなかったこと」だけで効果を測ろうとすると評価が難しくなります。そのため、活動件数や改善件数だけでなく、将来リスクの発見数、対策実施率、類似リスクへの展開状況、現場の気づきの質なども評価指標に含めるとよいでしょう。
 結果だけでなく、未然防止が継続的に機能する状態になっているかを見ることが大切です。


Q10.未然防止活動を実施したいのですが、リソースが不十分で、うまく進められません。何か良い方法はありますか。

A
 最初から全社一斉に大きく始める必要はありません。まずは、事故やトラブルの発生頻度が高いテーマ、影響の大きいテーマに絞って小さく始めることが有効です。
 モデル部門や重点課題で成果を出し、そこで得たやり方を横展開するほうが現実的です。未然防止は、限られたリソースの中でも、重点化して始めれば十分進められます。


Q11.未然防止という新しい活動を取り入れる際、社内展開で工夫すべきことは何でしょうか。

A
 新しい活動は、「また仕事が増えるのか」と受け取られると定着しません。そのため、未然防止を新しい負担としてではなく、
 事故対応や再発対応に追われるムダを減らす活動として伝えることが大切です。また、理念だけでなく、具体的な事例や小さな成功体験を示しながら進めると、社内に浸透しやすくなります。


Q12.未然防止において、「水平展開には限界がある」とはどういう意味でしょうか。

 

A
 水平展開は、起きた問題を他部門や他工程にも共有して再発を防ぐうえで有効です。ただし、起きた事例をそのまま横展開するだけでは、まだ起きていない別のリスクまでは拾いきれないという限界があります。
 未然防止では、過去事例の共有に加えて、「他にどんなことが起こりうるか」を自ら考える活動が必要です。つまり、水平展開は大切ですが、それだけでは未然防止にならないという意味です。


Q13.未然防止を進めるには、まず何から始めるべきでしょうか。

 

A
 最初に必要なのは、今どこに課題があるのかを把握することです。そのためには、事故やトラブルの発生状況だけでなく、
 管理職の関わり方、原因追究の深さ、現場の気づきの仕組みなどを整理することが重要です。現状を見える化したうえで、重点課題を決め、小さく始めることが成功の近道です。

4.他部門・全社展開・組織的な進め方

Q14.私は総務課に所属しており、製品の品質不具合には直接関与しません。未然防止活動にどう関わればよいでしょうか。

A
 未然防止は、製造部門や品質部門だけの活動ではありません。総務課でも、情報共有、教育、ルール整備、職場環境づくりなどを通じて大きく関わることができます。
 たとえば、伝達漏れ、手続きミス、備品管理、災害対応なども未然防止の対象です。大切なのは、自部門の仕事の中で、どんな将来リスクがあるかを考えることです。


Q15.ヒヤリハットのデータを日々集計していますが、形骸化しているように感じています。どうすれば未然防止に活用できるでしょうか。

A
 ヒヤリハットは、集めること自体が目的になると形骸化します。重要なのは、件数を数えることではなく、そこから将来の重大事故の芽を見つけることです。
 似た内容を分類したり、繰り返し出るパターンを確認したりして、具体的な対策につなげる必要があります。ヒヤリハットは報告で終わらせず、分析し、行動につなげて初めて価値が出ます。


Q16.海外工場の品質が安定しません。日本とは違った取り組みが必要でしょうか。

 

A
 海外工場では、言語、文化、教育背景、管理習慣の違いを踏まえた取り組みが必要になることがあります。ただし、基本は同じで、問題を人の能力だけに求めず、誰がやっても安定しやすい仕組みをつくることが重要です。
 日本のやり方をそのまま押しつけるのではなく、現地の実情に合った方法に落とし込む視点が必要です。大切なのは、「違う国だから難しい」で終わらせず、現場に合った未然防止策を設計することです。