再発防止と未然防止は、「似て非なるもの」です。再発防止は、過去に起こった事故やトラブルと同じことが2度と起こらないように対策することです。一方、未然防止は将来起こるかもしれない事故やトラブルの発生を未然に防ぐための対策です。
(1) 再発防止の価値
未然防止の企業研修で、ある受講者がこう言いました;「再発防止をどんなに懸命に実行しても、過去には戻れないのであれば、再発防止をやらずに、いきなり未然防止を実行すればと思います」。
この答えとしては、「いきなり未然防止を実行できるのであれば、ぜひそうしてください。しかし、再発防止を経験せずして、いきなり未然防止に取り組むのは、かなりハードルが高いでしょう」。
前述した通り、未然防止においては、将来リスクを予想すること(気付くこと)がとても難しいです。しかし、再発防止において、トラブル・事故の根本原因究明から再発防止策立案・実行・検証をいくつも経験することで、将来リスクの気付きが増えてきます。
つまり、再発防止から未然防止への流れが重要で、再発防止なくして未然防止はあり得ません。
(2) 再発防止で大切なこと
再発防止で大切なことは、トラブル・事故の根本原因追究です。これについては、次章および、未然防止の具体策で詳しくお伝えしますが、なぜ根本原因追究が大切なのかをご理解ください。
その理由は、次の3つです。
① 表面的な原因だけでは、効果的な再発防止策が見つかりません。
② 根本原因(真因)を追求することで、効果的な再発防止を誘導できます。
③ 根本原因を追究する過程で得られた様々な情報から、未然防止で役立つリスクに気付けます。
これは、簡単ではありませんが、必ず克服していただきたい課題です。
★ よって、未然防止の前に、まずは再発防止に取り組んでください。
★ 未然防止はとても大切な活動ですが、この未然防止がなぜ定着しないのかについて、お伝えします。