人間の習性と脳の認識のクセ

ヒューマンエラーを誘発する人間の習性と脳のクセ

習性1:過去を振り返りたくない

 我々は、過去の失敗やトラブルに対して嫌な記憶があると、思い出したくもないし、振り返ろうとはしません。失敗体験を振り返らないと、また同じことを繰り返します。過去の失敗を風化させないためにも、しっかり過去を振り返りましょう。

習性2:考えたくないことは考えない、見たくないものは見ない

 我々はこの習性のおかげで、正しい判断ができないことがあります。たとえば、ある問題が起こって、自社に原因があるとは考えたくないので、他社を疑うわけです。

 しかし、順序としては、他社に責任を転嫁する前に、まずは自社内に問題はないかを調べることが優先するべきです。その方が、正しい原因を究明するために、他社の協力を得やすくなります。

脳のクセ1:部分だけを取り出す

 我々は全体を見ているようで、実は脳が認識しているのは一部分です。みなさんは、手元に探し物があるのに、それが見えない・認識できないことを経験したことがあると思います。1人で対応せず、チームで様々な視点から、全体を俯瞰することが大切です。

脳のクセ2:過去の記憶とつなげる

 我々は過去の記憶に引きずられて、今起こっていることを正しく認識できないことがあります。過去の強い印象が、「勘違い」「思い違い」を引き起こすわけです。この場合は、過去と現在の出来事の共通点と相違点を客観的に把握する必要があります。「似て非なるもの」を同一視しないように注意してください。

脳のクセ3:想定内だけで考える

 我々は何かを考えるとき、無限を対象にはできません。つまり、考える対象を有限化するわけで、それが想定の範囲ということになります。しかし、トラブルや事故が起こると、「それは想定外だった」ということをよく耳にします。1人では、想定の範囲が限られているので、チームで全体を俯瞰することが大切です。

 では、ヒューマンエラーをなくすことはできるでしょうか。

ヒューマンエラーはなくせるか

複数体の人型人形

 ヒューマンエラーを誘発する人間の習性と脳のクセがある限り、ヒューマンエラーを減らすことはできても、ゼロにはできません。しかし、ヒューマンエラーが起こっても実害のあるトラブルをゼロにすることが可能です。

 未然防止研究所では、ヒューマンエラーが起こることを前提に、トラブル・事故ゼロを実現する方策をお伝えしています。